偶然の再会

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書庫にはたくさんの本が収められている。奥深くに隠されていたアルバムは埃被っていた。その誇りを払い、祖父に言われたとおり小さな頃の写真を探していく。アルバムを開き、座りながら見ていると楽しそうに笑う母と娘、そしてもう何年も逢っていない母の友人夫婦の写真を見つけた。 「あっ、これ懐かしい。お母さんがまだ元気だった頃の写真。紅乃おじ様と沙夜香おば様だ。懐かしい。こっちの子は・・・・・・」 ドックンと胸が鳴った。写真の下に彼の名前が書かれていたのを見て、忘れていた記憶が一気に思い出された。 それは同い年の男の子で、初めて逢った時からよく遊んでいた男の子。私の初恋の相手、“あおい君”だった。                    しかし、ある時期を境に彼と逢うことを父に止めれ、逢えなくなった。その後、色々あって、辛いことが多く、幼い頃の記憶がほとんどないのだった。 その夜、昔の夢を見た。それは初めて会った時のことや一緒に遊んでいたこと思い出す。約束を交わした。再会を約束し、すぐに叶うと思っていたがあれから会えず、詳しい理由は憶えていない。
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