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明日から夏休み、学校が終わるとすぐにお爺さんの家兼喫茶店に向かって急ぐ。
だって午後から大好きなあの場所を満喫出来る午後の一時が何よりも楽しみで急ぎ足になる。
祖父の家に付くとすぐに部屋に入って、制服から涼しげな水色のワンーピースに着替えて、帽子を持って下に行った。
喫茶店にいる祖父に声を掛けに降りて来た。
「お爺ちゃん、これから向日葵畑に行って来るね!帰りに少し摘んで来ても良い?」
お客がいるのを忘れて楽しそうに言う。祖父はまたかと厭きれつつ言った。
「梨乃、ここがどこだか判っているのか?お客様がお見えになっているんだよ。全く、気をつけなさい。」
「ごめんなさい。皆さん、いらっしゃい。ゆっくりしていって下さいね。」
悪戯っぽく舌を出して祖父に言うと、皆には笑顔で言った。
「梨乃、ついでに政司君の所によって行ってくれ。」
少し嫌そうな顔をしながら聞いた。
「どうしても?」
「うん。」
渋々行くことになった。
「じゃあ、お爺ちゃん行って来るね!」
彼女が行くのを見送ると、この喫茶店から30分位の所にある男子校の生徒達が言った。
「梨乃さん、今日も可愛いな」
「今日も美しかった。」
「もっと、見ていたかった。」
憧れの眼差しだったが、祖父は呟いた。
「気の毒だが、あの子は相当な男嫌いだぞ。」
その言葉にショックを受ける者が少なくなかった。彼女目当てに来ていたのだから。
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