亀裂

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「俺は、お前の本当の姿を知っている。 だから取り繕ったその姿、形、言葉。 全てに違和感を感じる。」 彼は長州藩士であり、過激派として 有名であり京では追われる身。 なぜ私がそんな彼を知っているかというと 「どうだ?何か新選組に限らず、幕府の情報、掴めたか?」 ―私も長州藩士だから。 「まだよ。新選組に一人、若造が居るんだけど、駄目ね。 好いた女が居るみたい。守りが堅いわ。 他にもよく来る隊士が居るけど、一人は酒飲みで、酔いやすくて馬鹿だけど新選組については何も語らない。 もう一人、確か永倉…だったかしら? あの男は何か鋭いものを持ってるわ。 注意した方がいいわね。」 自分が得た新選組についての情報を伝える。 この、憎くて堪らない男に。 本当はこんな奴に手助けなんてしたくない。 今すぐにでも殺してやりたい。
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