小さな火種

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柏木紗智23歳。 最近子犬を拾いました。 その子犬は私に元気と癒やしと…… 萌えをくれる! 「お疲れ様でしたぁ!お先に失礼します!」 私は仕事が終わり、そそくさと、いやいそいそと更衣室を後にする。 「あれ?今日日勤?じゃあ今から飲み……」 「断る!」 部屋の入り口で職場の友達に出会ってしまった。 出会ったのも束の間、私は友達の誘いをばっさりと一刀両断してやった。 「ちょ!断るの早くね?そんな瞬殺って!ってかまだ言い終わってもないからね?」 「私には早く帰らなきゃいけない理由があるんだから!」 瞬殺の断りに友達の目にうっすらと光る物が見えたのは気のせいにしておこう。 「理由って例の子犬ぅ?そんなのたまにはお兄ちゃんに任せとけばいい……」 「断る!」 再び友達の言葉を一刀両断。 だって早く帰りたいんだよ私は! 「えぇ~!子犬と私との友情とどっちが大事なのよ?」 「子犬!」 「ひどっ!」 私の答えにショックを受けた友達の目からは…… うん、面倒だから気のせいだって事にしておこう。 「じゃぁまたね!」 ショックを受ける友達を置きさっさと部屋を出る。 しばらく歩くと、「もう飲みになんか誘ってやんないから~!」と言う叫びが耳に入った。 許せ友よ! 今の私には友情よりも子犬が大事なのだよ!
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