小さな火種

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心を落ち着けた私はそのままキッチンへと向かう。 きっと沖田さんはお腹すいているはずだから。 っと言うか私が腹へったのだよ。 「お腹すいたよね?夕飯何食べたい?」 「紗智さんが作る物は何でも美味しいですから何でも。」 そう言ってにこにこした顔で私の後ろをついてくる。 本当に子犬みたいだよ。 沖田さんにとってキッチンはもはや夢の世界の様で、私が料理を始めると必ずついて来て楽しそうに見ている。 沖田さんから見る私はさながらマジシャン的な? 「今日はチンの箱使いますか?」 キッチンの中でもお気に入りなのが電子レンジらしい。 前に一回使って以来チンの箱と呼んでいる。 ワクワクしながら無邪気な沖田さん。 目の輝きがいつもの二割増しだ。 今日はレンジ使わないけど…… ちらりと目を向ければ目の前には二割増しの輝き。 「もちろん使うよ~!」 はい、負けました。 だってあんな顔見たら使いませんとは言えないよ! 使いませんって言って沖田さんが泣いたらどうすんの! 泣いたら……泣いたら……それはそれで萌えるよね? 何て妄想しながら無駄に玉ねぎをチンしてみました。 ……三回も。 おかげで沖田さんの目の輝きは二割増しから五割増しへ。 玉ねぎはまん丸からカラカラへ。 やり過ぎました。 しかしその輝きだけでお腹一杯です。 ご馳走様でした。
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