学園と仕事の両立生活

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「ふむ、今年の夏はなかなかの猛暑なようで」 今日び、少しばかり運動中の私(わたくし)は額の汗を拭いつつもあまりの暑気に口を突いて出た言葉。太陽が容赦なく照り付けてきますねー…。 「おっと、申し送れましたか、私の名は紳峰士朗(しんほうしろう)今年で17年目の我が奔放(ほんぽう)人生を送る何処までも平々凡々とした高校生でございます、どうぞお見知りおきを」 私の余りにもアッサリとした面白味もない自己紹介はさっさ終えるとして。士郎は先程まで彼と交わしていた雑談へ再び身を投じる。 「おいおい、まだ6月の終わりだぜ。ちょっと暑くなってきた程度だろ?夏ですらねぇよ」 苦笑しながらも士郎の意見を遠回しに否定する男。この男の名は五十嵐直人(いがらしなおと)奇しくも私と同じ年に生を受けた色々と残念な男です。 「手厳しい見解を頂き真に感謝致します。しかし…ふむ、今日個人が暑いと感じればそれはもうその人にとってはどうしようもなく猛暑であり、猛暑日と言っても過言ではないのであながち間違いとは言えないんじゃありませんかね?」 「遠回しで面倒臭ぇなおい。まあ、そりゃ士朗がただの暑がりなだけだろ。気にすんな。つかさっきの突然の自己紹介は何だったんだよ?妄想の世界にでも旅立ったのか?ならお土産よろしく」 私に生まれた素朴な疑問を敬礼と共に彼は華麗に受け流すと、およそ興味を持たなくても良い方針に疑問を抱く。それにしても失礼な方ですね。貴方のお土産はお預けです。 「むむ、それはまた中々度し難い疑問が出て来ましたね。他人の事情にズカズカと土足で踏み入る、私もその図太さを見習いたいものです」
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