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「…は?」
少女が間の抜けたような声を漏らした。
「貴女の名前は何ですか?」
俺はニコニコしながらもう一度そう言った。
少女はムスッとしながら、
「変態に教える名はありません。」
と言った。
どうやら俺は変態扱いされているらしい。
結果論だが、やはり少女の体に触れるのはよくなかった。
「僕の名前は白神美霧。貴女の名前を教えてください。」
「白神美霧…やっぱり貴方が…」
え?やっぱり?
待て待て待て俺こんな可愛い子と会ったこと無いですよ。これはどのようなドッキリですか?教えてください神様。
勿論神様は答えてはくれない。
「私の事…覚えてないよね…?」
いきなり敬語じゃなくなった…
_という事は同級生?
俺は中学、小学、幼稚園の順に友達だった子の顔を頭に浮かべる。
「そか…」
少女がしょんぼりした顔で俯いた。
顔に出ていたか…?
「私、江月切菜って言うんだ。」
「_」
江月…切菜…?
〈あの日〉から全く姿を見せなくなった少女の名と同じ…
そして、今日の俺の夢に出てきた少女の名…
夢では顔は見えなかった。
いや、俺が忘れただけで実際は見えていたのかもしれない。
「やっぱり…覚えてないよね…」
「いや。」
切菜が顔を上げる。
「君に会いたかった。」
「…は?」
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