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私、変わるから……
「む」
夢オチかよ畜生……
俺こと“白神美霧”が夢の世界から脱出したのは、午前六時を少し回った頃だ。
辺りはまだ仄暗く、小鳥たちの囀ずりが妙に心地よい。
しかし、これまた何かありそうな不思議な夢だった。
“江月切菜”――家はさほど近くないが、0歳からの幼なじみだ。
双子のように、全く同じ時間にこの世に産み落とされたのだから、仲良くなるのも当然といえば当然だろう。
親同士も異常なほどに仲が良い。
……〈あの日〉が来るまでは。
〈あの日〉から俺達は、一言も言葉を交わしてはいない。
それどころか、顔すら見ていない。
明日は高校の入学式だ。
“江月切菜”も、特別に自宅で試験を受けたという噂を聞いた。
私、変わるから……か。
その時、設定しておいたケータイのアラームが、俺を殺さんとばかりに騒ぎ始めた。
騒音に跳ね上がった俺は、まだ鼓動が安定しない状態でケータイを開いた。
アラームを止める為である。
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