My friend is …

5/8
前へ
/38ページ
次へ
「ふぅ。着いたねー。」 ざっと20分くらいで月見ヶ丘高校に到着した。 徒歩で行ける高校ってのも悪くない。 蝶間林鈴歌…会ってきちんと謝らなければならないな。 「あら。」 フラグ回収お疲れ様です俺。 「高島さんに江月さん、それに白神君…ですよね?」 「蝶間林鈴歌…」 俺はいつの間にか彼女の名を発していた。 会って謝りたい。でも会いたくない…そんな人物であった。 「…覚えていてくれたんですね。」 鈴歌が少し寂しそうな顔で微笑んだ。 謝るなら…今! 「鈴歌!」 俺が突然叫んだ為、切菜と夏芽がビクッと肩を震わせた。 「…どうしました?」 蝶間林鈴歌はニコニコしながらこちらを見ている。 「あの時は…本当に悪い事をした…ごめん!!」 俺が深々と頭を下げると、夏芽が挙動不審にキョロキョロし始めた。 「え?どういう…」 「行きましょう夏芽さん。」 切菜が夏芽の手を握り、そのまま強引に夏芽を引っ張っていった。 「ち、ちょっとー!後で説明してよねー!」 そう言った後、夏芽は切菜と手を繋ぎながら歩いて行った。 …逆に、夏芽が切菜を引っ張って走って行った。 「…そんな細かい事、どうでもいいです。」 鈴歌が俺の目の前に立つ。 「よかったですね。私が暴力的な性格じゃなくて。」 そう言って、俺のつむじにデコピンをしてきた。 『デコ』ピン…なのか? 「私達も行きましょうか。何なら、手を繋いでも宜しいですよ?」 「い、いいのか…?許してもらって…?」 俺は恐る恐る顔を上げる。 すると、鈴歌が俺の耳元に口を近付けてきた。 吐息を感じ、鼓動が速くなる。 そして、鈴歌が口を開く。 「誰が許すと言いましたか?」 「え…?」 全身から血の気が引いていく。 殺気_それも、とても大きな。 鈴歌が俺の左手に触れる。 その手はとても冷たかった。 「さ、行きましょう♪」 鈴歌が俺の手を握り、歩き始めた。 「は…恥ずかしくないのか?」 恐怖心を悟られないよう気をつけたつもりだったが、明らかに声が震えていた。 「正直、恥ずかしいです。」 即答された。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加