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午前11時47分
「何でさ何でさ!」
「いや、俺に言われても…」
夏芽がギャーギャー騒いでいるのにはちゃんと理由がある。
俺と切菜、それに鈴歌は同じ1組となった。
もうお分かりだろうが、夏芽は2組。もはやお決まりの展開である。
「くそっ、蝶ちゃんや切菜たんともっと仲良くなるチャンスだったのに…」
「俺は!?」
「やだなぁ。美霧とは最大まで仲良くなってるでしょ?」
なるほどそういう事か。
「勿論。俺達は兄弟みたいなモンだからな!」
俺はそう言って夏芽の肩に手を回した。
「おお、大胆だねぇ…」
「セクハラの間違いじゃない?」
茶化す夏芽に切菜がツッコんだ。
「そ、そんなセクハラになる所触ってないだろ!?」
「セクハラになるという場所を具体的に教えて頂けませんか?私、馬鹿なので…」
鈴歌が俯く。
いやいやいや、これ絶対演技だよね。絶対俺より賢いよね。
「あ、私も聞きたいかもー。」
「ちょ、切菜まで!?」
明らかに棒読みだったが、確実に俺は崖っぷちに追い込まれている。
「んでさー、美霧はいつまでセクハラ行為を続けるつもり?」
俺はハッとした。
まだ夏芽の肩に手を回したままだったのだ。
俺は慌てて手を引いた。
「では、そろそろ答えて頂きましょうか♪」
鬼畜すぎる…
だが負ける訳にはいかない!
「え~、僕も馬鹿だから分かりませ~ん。」
半分ふざけた口調で言ってみた。
切菜はいつも通り普通に歩いている。
その隣で夏芽が自分の口を両手で押さえている。
さらにその隣。鈴歌が俺の方をジッと見つめている。
…女の子に見つめられるとドギマギするな。
「俺の顔に何か書いてあるのか?」
「はい。主に胸。ただし小さいものに限る!一応鈴歌までは守備範囲…と書いてありますわ。」
「長ぇ…長ぇよ…どれだけ小さい文字で書いてあるんだよ…」
俺の顔はそんなに大きくないはずだ。
そんな事より本当に思っていた事を読み取られてしまった。何これ怖い。
「あ、そうでした。」
鈴歌が何かを思い出したように鞄に手を突っ込んだ。
「あれ、何処にしまいましたっけ…」
鈴歌が鞄の中をあさりだす。
突然切菜が鈴歌の方を振り向き、
「そういえば蝶ちゃんが着てるのって制服じゃないわよね?校則破ってるんじゃない?」
と指摘した。
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