さいしょのひ。

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ざわざわとざわめき始める講堂内。僕は雑踏の中、そっと講堂を抜け出す。 腕時計を確認すれば午後7時過ぎ。今日はもう帰るか、と溜め息を吐いた。 が、しかし。 「うぃーっす!羽鳥ちゃーん!!」 背後から頭の悪そうな声と、同時に背中に鈍い衝撃。平手か。 少し眉を潜めながら振り返ると、予想通りというか、案の定頭の悪そうな同期生が数人立っていた。 次に彼らの吐き出す言葉は粗方予想できた。脳内で先に、こそりと呟いてみる。 「(合コンしよう)」 「なぁ、合コン行こうぜ羽鳥!」 やはりな、と僅かに目をすがめる。同時に、深く溜め息を吐きたくなったが、ぐっと呑み込んだ。 こんな事は以前にも数回あった。…ので、慣れている。 何故、僕が合コンに誘われるのか? …別に、僕が女性に飢えていて、合コンが好きな訳では、決して無い。 酒が好きな訳でも、大人数で騒ぐのが好きな訳でも、無いのだ。 どちらかと言うと、こういった「合コン」なるものはあまり得意ではない。 …では、何故誘われるのか? 理由は簡単で酷くシンプルだ。…つまり、自分は餌なのである。
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