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不意にはたり、と一点の冷たさを感知した。
雨だ、と気付いた時には多量の雫が容赦無く僕の体を叩き始めていた。
さいあく、ともう一度力無く、恨めしげな響きを籠めて言ってやる。相変わらず返事は、無い。
仕方なく最寄りのコンビニに走り、ビニール傘を探しに行くことにした。
自動ドアを抜ければ、軽やかなメロディが鳴って僕を迎える。
雨で額に貼り付いた前髪をかき上げながら、ふと、店内に居た「一見」親子の「ような」女性二人の内の―――ダークブラウンの髪をした小柄な少女に目がいった。
「(あ…、あの子、《アニマ》か)」
その少女には僕と、彼女の隣にいる女性とは決定的に違うパーツを持っていた。…よく見れば、見分けるのは至極簡単だ。
彼女にはケモノの耳と、尻尾が生えている。
それが、彼女がヒト為らざるモノの証、なのである。
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