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《アニマ》。
数年前、突然現れた、動物の中にヒトと良く似た姿へ擬態する個体を、とある生物学者とその妻が、発見したのだ。
そして、その個体が確認されたのを皮切りに、多数のアニマが発見されていった。
今では発見されたアニマは種族だけで数万、にのぼるらしい…なので、最近はこうして街の中で見掛けるのも珍しい事では無い。
アニマが発見されてから、動物園は消え、保健所はその様相をがらりと変え、まるで孤児院のような施設へと、その役割を変質した。
…ただ、見た目が変わっただけでこうも扱いが変わるとは、自分達人間というモノは本当に…、一体何様なのだろうか。
そのアニマを発見した学者夫婦は国から何やら色々賞を貰い、大いに褒め称えられ、歴史に名を残した。
まぁ、その学者夫婦は、5年前に交通事故であっさりと死んでしまった訳だけども。
「(―――以上、僕の知ってること、回想終わり)」
軽やかなメロディと共に仲良くコンビニを立ち去る二人の背中を無意識に眺めていた。
そんな自分に気が付いて、自嘲的に笑う。
まさか、羨ましいとでも思ったのか…?、自問するが答えは、無い。
…さっさとビニール傘を買って帰ろう、と意識を切り替え、売り場へと歩き出す。
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