天敵

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床で垂れたパンダ状態の達也の背中に、優雅に座る。 っと太もも付近に振動が伝わる。 「メール?」 差出人は 智樹? 「何々…。」 小林さんにマナの居場所を教えちゃったんだけど、大丈夫かな? 「…達也、逃げるぞ。」 「ほ?なんで?」 俺が立ち上がると、しぶしぶ立ち上がる達也。 「智樹のバカが悪霊に、俺の居場所を―」 最後まで声に出す前に、唯一の出入口であるドアが開かれた。 割かし、勢いが付いてました。 もちろん、そこに立っているは、息の乱れた悪霊であります。 「見ぃぃつぅぅけぇぇぇぇたぁぁぁぁ!」 笑顔は笑顔の小林。 しかし、目は全く笑ってない。 余りの迫力に 「ぎゃぁぁぁぁ!?」 達也は叫び 「ワァオ…。」 俺は肩を竦めた。 さてと… 「グッバイ。」 達也の頭を掴んで、窓から逃亡を開始した。 しかしながら… 「もちろん、追ってくるよなぁ…。」 ちらりと背後を確認。 「まぁぁてぇぇぇえ!」 「怖っ!マジでホラー!!」 「てか、アイツ足速すぎ。」 小林との距離は、開くこともなく、縮まる事もない。 大した脚力ですこと。 「パターン青!悪霊でぇぇぇす!」 涙目で訳の分からん事を、おっしゃる達也さん。 相当、動揺しているな。 「な、なぁ!どうするよ?」 「んー、一先ず校内に逃げ込み、隠れるのが妥当だろ。」 ちなみに今は中庭です。 「逃げるな!」 「いやいや。追ってくるな。」 「五月蠅い!授業に参加しなさい!」 「黙れストーカー。」 小林の速度が神速から、縮地に変化した。 「何、火の付いた鍋に冷凍物ブチ込んでんのぉぉ!?」 「確かに、火柱が上がるな。」 つか、コイツ無駄な知識を兼ね備えてるな。
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