天敵

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じわりじわり、と迫りくる小林。 このままでは、捕まるのも時間の問題だな。 「仕方ないよな。うん、仕方ないんだ。」 「一人で何、解決してるんですか!?」 チラっと横目で達也を見ると、視線が交わった。 「な、何をする気だ?」 流石は達也。 己の身の危機に対して、敏感だな。 「すまん達也。」 「ちょ―」 一応謝罪を述べ、有無を言わさずに達也の頭を鷲掴み。 そのまま、小林目がけて投げ、俺はすぐさま階段を駆け下りた。 「おひょぉぉぉおおぉ!?」 「っ!?…邪魔!!」 何かが潰れる音と悲鳴が聞こえたが、気のせいだと思う。 ――。 しばらく時間を置いて保健室に戻ると、顔に痣ができた達也がいた。 「誰に…やられたんだ!?」 「半分はアンタにだよ!!」 何やら達也の頬を水が流れ始めたので、買っておいたコーラを投げる。 「おびゅっ!」 割と思いっきり。 コーラの缶は、達也の頬にめり込んだ。 「あ、悪い。」 「真心込めて謝れよ…。」 結構痛かったのか、力のない弱弱しい声だった。 「……。」 「無視かよ!」 あ、復活した。 「ったく。」 諦めた表情で、コーラの缶をあけた達也だったが… 「どうっ!?」 コーラの噴水が、奴の目を襲った。 「いだぁぁぁああぁぁ!」 「お前、今日は厄日だな。」 全てに俺が関与してるけどな。
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