天敵

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高速で床をのた打ち回る達也。 実に哀れだ。 「小林はどうした?」 「ふぇ…。お前の背後に―」 なん…だって…? そう言えば、先ほどから背中にヒシヒシと何かを感じる様な… 振り返って理解した。 「あ、殺気か。」 重力に逆らい髪が逆立っても可笑しくない程に、目が血走って いる女子がいました。 小林だった。 「はぁ…。あんた、何で俺に付き纏うわけ?」 「君が気に入らないから!」 「あら、酷い。」 少々、ふざけてみると悪霊の逆鱗に触れてしまった。 「何で君みたいな、不真面目で、不良で、努力もしない奴が学年トップなのよ!ふざけるな!」 「……。」 涙が見えた。 小林の瞳に確かに涙を見た。 でも、直ぐに袖で拭き、そこに有ったの敵意の籠った瞳。 「…ふざけるな?」 声を出したのは、俺ではなかった。 小林でもない。 声の主… それは 「何にも知らねぇくせに…」 何時も馬鹿で 弄られて でも笑顔で そんな親友が― 「出てけ!」 凄まじい勢いで怒鳴る。 何時もの笑顔はなく、正に鬼の様に。
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