天敵

2/15
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
重い空気。 沈黙。 そんな中、金髪こと真田達也が膝から崩れ床に両手をつく。 「それは…盲点だった…。」 「何、真剣に答えてる。」 「確かに彼は強いだろうね。サイボーグだし。」 「おい、エビフライはどうした。」 まるで探偵の様に考えるポーズの智樹。 「なんせ彼は、サイボーグな上に次元を操れるからね。」 「次元…だと!?」 達也は智樹の話しを心身に受け止めているご様子だ。 その顔は驚愕に満ちている。 「達也…彼は何次元の存在だい?」 「えっと…二次元。」 「そう、二次元だね。なら彼のポケットは何次元?」 「四次元です、先生!」 そう達也が答えると、智樹の目がカッと開いた。 無駄に迫力があるな。 「彼が二次元の存在で在りながら、四次元の物を所持している。これがどう言う意味かわかるかい?愛斗君。」 「此処で俺に振るか…。」 上手く空気と同化していたんだが、甘かったか。 「さ、答えてよ。」 キラリと智樹の眼鏡が怪しく光る。 「んー。…二次元で在りながら、四次元ならその間の三次元に―」 「そう!僕らの世界に彼は介入しかねないんだ!もし、人を縮める懐中電灯を使用したら?そうなれば、僕らは地を這う蟻と同じ扱いをされてしまう可能性だってある。」 「なんて恐ろしい…。」 あぁそうだな。 なんて恐ろしい思考を持ってるんだろうな。 まだ馬鹿な会話を続ける二人を尻目に、俺は空を見上げた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!