天敵

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夢を… 夢を見ているのだろうか? 身体が暖かい。 何か優しくて、好い匂いに包まれている気がする。 『愛斗。貴方は―』 誰かが俺を呼んでいる。 アナタは誰ですか? ――… 「…んうぅ?」 目を開くと青い空が、視界いっぱいに映される。 「寝てたのか…。」 「ぐががががが。」 「何つう鼾だよ…。」 屋上の出入り口の壁に、持たれかかったまま寝ている達也。 毎度ながら彼の鼾は耳障りだ。 智樹の姿は消えていた。 腕時計をチラ見。 時刻は十二時過ぎと昼休み真っ只中。 「メシ…は面倒だから良いや。寝よ。」 再び瞼を下ろし、いざ夢の世界へ。 「ぐがががが。」 「……。」 「にゅふふ。菜々ちゃーん。」 「……。」 耳障りな上に、目を開くと目障りな笑顔を浮かべてやがった。 「ドアにでも挟まれやがれ。」 次の瞬間。 ドアが猛烈な速さで開かれた。 それ正に神速。 そして何より… 「ぐぼはっ!?」 僕の願いが叶ったのだ。 達也の身体はドアにより、シャットアウト。 唯一、見えている彼の右足はピクピクしていた。 「ざまぁ無いな。…ん?」 ドアを開いた人物は、女子生徒だった。 しかも、ただの女子生徒ではない。 「見つけたわよ!福井愛斗。」 明らかに、俺へ敵対心を向けていた。 …昼寝がしたいのだが?
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