天敵

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ジッと俺を睨む女子生徒。 確かに俺の名前は福井愛斗だ。 しかし、まぁ…誰だコイツ。 「…アンタ、誰?」 「私?私は小林紅音よ。ってあなたと同じクラスなんですけど!」 「へぇ。で、何か?」 「…クラス委員長として、あなたを呼びにきたの。次の授業は出てもらうわよ。」 コイツ何を言ってるんだろ? 俺が授業に出る…… 笑止。 「ワタシ、日本語、ワカラナイネ。」 ピクピクっと小林のこめかみ辺りが動いたのが、しっかりと見えた。 「あ、あなたさっきまで普通に話してたじゃない…?」 お。 キレなかった。 偉い偉い。 「ん。そだな。」 「戻った!?」 だってキャラと違うし。 何より面倒だし。 「で、何だっけ?」 「だから!次の授業に―」 「無理。」 「……。」 ―ブチンッ 「け、喧嘩…売ってるのかしら?」 「ん。」 ワナワナと震える小林の拳。 顔は、彼女の茶色い長い髪で隠れている。 「…上等よ。買ってやるわよ、こんにゃろー!!」 「お。」 阿修羅が降臨。 勢いよく駆け出した小林は、一直線に俺に向かう。 「ん…ん!?」 俺は驚愕した。 ただ走っていた小林の動きが、突如変化を見せたからだ。 間合いに入った瞬間、膝を深く落とす。 左手を突出し、腰の位置で溜める右の拳。 そして、 「はぁっ!」 放たれた。 しかも、捻りを加えてます。
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