天敵

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放課後。 俺は智樹と帰宅の最中だ。 話題は、昼間の一悶着についてだった。 「しかし、面倒なのに目をつけられたな。」 「まぁね。小林さんは真面目だからね。」 「お前は小林を知ってるのか?」 「委員会で隣りの席だから良く話すよ。」 因みに智樹は、B組のクラス委員長をやっている。 小林とは違って、たまに授業をサボってるけど。 「アイツ何モノだ?殴られかかったが女のパンチじゃねぇぞ、あれ。」 「ん~。何か空手と柔道してたらしいよ。因みに有段者でって噂。」 「あぁー…納得。」 ほんと、面倒なのに目をつけられたもんだな。 俺が何をしたって言いうんだ。 ――… 智樹と別れた後、俺は病院に来ていた。 一週間に一回、必ずこの病院に訪れるのだ。 別に俺の診察ではない。 「あ、愛斗君!」 「ん。お土産もあるぞ。」 この目の前にいる、車いすの幼い女の子に会いに訪れている。 「初音。少しはよくなってるか?」 「ん~わからないの。ママもパパも何にも言ってくれないから。」 「そうか…。」 初音は俺の妹でも、何でもない。 赤の他人だ。 二年前に、病院に来た際に偶然出会ったのだ。 「誕生日…いつだっけ?」 「ぶぅ…来週の火曜日だよ。」 ぽりぽりと、俺の買って来たポッキーを食べる初音は、どこか不満げな表情。 「十歳だっけ?」 「十一だもん。」 今日の俺、何かダメだ。 憑りつかれてるに違いない。
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