~親戚となる男~

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そして式が始まった。 華やかな香苗とこれまた華やかな仁が、みんなに祝福され幸せな笑みを終始、浮かべていた。 料理も非常に美味しく、母の料理など足元にも及ばなかった…。 プログラムの途中には、香苗から父と母に宛てた手紙を読み、泣いてしまうようなシーンもあった。 ケーキ入刀など一通りのプログラムをこなし、そろそろ式が終盤に差し掛かったころ、恒例のブーケ投げが行われた。 「えぃっ!!」 香苗が可愛くそう言い、ブーケを投げた。 ブーケは綺麗な放物線を描いて、女性の人だかりに落ちていく。 ‐‐‐パサッ‐‐‐ 誰かがブーケを取った。 「やったー。次はあたしが結婚ね。」 そう言って歓喜の声をあげているのは、あろうことか蓮の母だった…。 (おふくろ空気読めよ…) 蓮は母を知らない人のフリをしてその時間をやり過ごした。 そして結婚式は終わった。 二次会とかなんとか騒いでいるが、谷崎家は二次会には行かず、帰ることにした。 こうして結婚式は幕を閉じた…。 結局 蓮は、嫌だ。などと思っていた割には楽しんでいた。 そして 仁が見せてくれるという物にも、期待が高まるばかりであった。
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