お酒は二十歳になってからっ!

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「…あさ…、ひなぁ……」 「はいっ、なんてね……」 何度も自分の名前を寝言で呟く一樹先輩を見て、少しだけ意地悪をしたくなって来ちゃった。 「一樹先輩、ボクのこと好き?」 夢心地の一樹先輩に、言葉が伝わるはずなんてないのに問い掛けてみる。 ていうか寝てる人に話し掛けてるボクって……もしかして、危ない人かも? 「……す、き」 「な…ッ!?」 不意打ちの答えに、ボクの顔が盛大に爆発したのは、仕方ないと思う。 ていうか先輩、そんなの反則だっ! 「一樹、先輩……」 ぼんやりと呟く。 理性が負けつつある脳を、必死に押さえるボクは、結構、偉いと思う。 「んぅ……あさ、ひなぁ……」 先輩、何度もボクを煽らないでくださいっ!! 「……す、…き」 「……っ、」 先輩の思わぬ寝言攻撃に、ボクは思わず唇を噛み締める。 せ、先輩が悪いんですよっ? ボクの変なスイッチ、入れちゃったんですから!! それが理不尽な考えだ、なんて、気付いた時にはもう遅かった。 いつの間にか、一樹先輩の唇に、ボクはそっと自分の唇を寄せていて――― 「ぅ……、あさ、ひな…?」 「!」 不意に目を開けた一樹先輩と合い、動揺したボクは、そのままの形で固まってしまった。
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