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「…あさ…、ひなぁ……」
「はいっ、なんてね……」
何度も自分の名前を寝言で呟く一樹先輩を見て、少しだけ意地悪をしたくなって来ちゃった。
「一樹先輩、ボクのこと好き?」
夢心地の一樹先輩に、言葉が伝わるはずなんてないのに問い掛けてみる。
ていうか寝てる人に話し掛けてるボクって……もしかして、危ない人かも?
「……す、き」
「な…ッ!?」
不意打ちの答えに、ボクの顔が盛大に爆発したのは、仕方ないと思う。
ていうか先輩、そんなの反則だっ!
「一樹、先輩……」
ぼんやりと呟く。
理性が負けつつある脳を、必死に押さえるボクは、結構、偉いと思う。
「んぅ……あさ、ひなぁ……」
先輩、何度もボクを煽らないでくださいっ!!
「……す、…き」
「……っ、」
先輩の思わぬ寝言攻撃に、ボクは思わず唇を噛み締める。
せ、先輩が悪いんですよっ?
ボクの変なスイッチ、入れちゃったんですから!!
それが理不尽な考えだ、なんて、気付いた時にはもう遅かった。
いつの間にか、一樹先輩の唇に、ボクはそっと自分の唇を寄せていて―――
「ぅ……、あさ、ひな…?」
「!」
不意に目を開けた一樹先輩と合い、動揺したボクは、そのままの形で固まってしまった。
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