*壊れる歯車と*

17/20
1681人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ
額に触れる何かに導かれるように僕は目を開いた 「――おはよう、緋月」 どうしようもなく泣きたい気持ちになった 僕に向けられるその言葉に、瞳に、全てに救われた 夢じゃ、なかった 偽りでもなかった 彼はいた ゆっくりと口を開く 「..君は、誰?」 その言葉を待っていたかのように彼はふわり、と微笑んで 「俺は....緋月、君を救う者、だよ。」 「救う、者?」 疑問を抱いた 彼に僕を救えるのか、と 「そう。だから緋月、これからは俺が緋月を救う。愛だってあげる。一緒に、いてあげる」 嗚呼、どうして 何で 僕が欲しい言葉ばかりを 話したこともない、赤の他人の筈なのに―― 止まったはずの涙がまた溢れだす 「君はッ僕を愛して、くれる...の?」 (もしもそれが) 「りゅ、き見たいに....いらなくなったり、しない?」 (嘘偽りのない、真実ならば) 「あ、あきたりッ邪魔になったり..嫌いになったり、しない? 僕を愛してずっと一緒に、一緒にいてくれるッ?」 (君だけは) 「僕を、僕だけをッ」 (―――愛して下さい) *
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!