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額に触れる何かに導かれるように僕は目を開いた
「――おはよう、緋月」
どうしようもなく泣きたい気持ちになった
僕に向けられるその言葉に、瞳に、全てに救われた
夢じゃ、なかった
偽りでもなかった
彼はいた
ゆっくりと口を開く
「..君は、誰?」
その言葉を待っていたかのように彼はふわり、と微笑んで
「俺は....緋月、君を救う者、だよ。」
「救う、者?」
疑問を抱いた
彼に僕を救えるのか、と
「そう。だから緋月、これからは俺が緋月を救う。愛だってあげる。一緒に、いてあげる」
嗚呼、どうして
何で
僕が欲しい言葉ばかりを
話したこともない、赤の他人の筈なのに――
止まったはずの涙がまた溢れだす
「君はッ僕を愛して、くれる...の?」
(もしもそれが)
「りゅ、き見たいに....いらなくなったり、しない?」
(嘘偽りのない、真実ならば)
「あ、あきたりッ邪魔になったり..嫌いになったり、しない?
僕を愛してずっと一緒に、一緒にいてくれるッ?」
(君だけは)
「僕を、僕だけをッ」
(―――愛して下さい)
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