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――嗚呼、最悪だ
こんなに泣き崩れてみっともない格好をみせるだなんて
赤く腫れぼったくなった目からはまだ涙が出るし髪だって乱れて
唇を噛み締めてるのに嗚咽は止まんないし、逆に酷くなる一方
いつもの僕とは遠くかけ離れてるこんな姿を、この綺麗な瞳の彼にみせていたくない
自然と俯いていく
そんな僕に彼は手を伸ばす
「俺はね、緋月。...緋月が思ってる以上に君が好きなんだよ」
次々と落ちていく雫を親指で優しく拭い
「―誰よりも君が好きだし、愛してる」
そっと腫れた瞼に触れる唇
「ずっと、ずっと君を見てきたんだ。...それこそ、速水何かよりもずっと前から。君だけを、見てきた..」
ゆっくりと瞼から頬を伝い、鎖骨へ
ちくりと痛みが走って
かと思えば今度は唇へと優しいキスが落とされる
「だから、今まで見るしか出来なかった緋月を、
欲しくて欲しくてたまらなかった緋月を
捨てたり何か、出きるわけがないだろう」
こつん、と額と額を合わせ目を閉じた彼が言う
「――緋月が嫌と言うまで傍にいる。
―― 緋月が泣いたら俺が拭う。
――緋月、俺がいる」
息を、飲んだ
自分を見つめる、彼の熱い、熱のこもった眼差しに
気を抜いたら引き込まれそうなほど綺麗な瞳に
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