第一章「始まりは突然に」

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―――――――――朝――――――――― 「はぁーー、今日から3年かよ。」 ため息をついた俺、皆越栄斗(みなこし えいと)は4月7日の今日高校3年生の始業式のために久々の早起きをしていた 春休みという休暇は偉大であり、毎日10時まで寝ていた栄斗。 今日から毎日7時に起きて学校にいくことを考え、憂うつな気分になって家の玄関を出てから鍵をかけた。 「てか1年後には社会人だからもっと早起きするかもなんだよな・・」 先の事を考え、睡眠が生き甲斐の自分が本当に生きていけるか疑問に思う。 栄斗の通う「私立大峰大学附属高校」は県内でも有名な中高大一貫のエスカレーター式の学校である。 入るには中学受験をして合格しないといけないため、規模は大きいのだが受験者の数から入るのは困難とされる学校である。 本来なら大学へエスカレータ式に入学するのが普通なのだが、栄斗は高卒で就職することを考えている。 希望する理由は 「学校がめんどくさいから」 「やりたいことがない」 「親が居ないからお金を稼がないといけないから」 という残念極まりない理由となっている。 栄斗の両親は2年前に事故で亡くなっている。 両親は割りと大きな企業の上の方で働いていた。 二人とも典型的な仕事第一という性格だったため栄斗はあまり好きではなかった。 しかし収入がよかったのに使っていなかったのか、貯金と保険の関係で銀行には“2人”の子供を私立大学を卒業させるには十分なお金が残っていた。 栄斗には2つ下の妹がいる。 中等部から高等部に今日から入学してくる2歳年下の妹が。
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