第一章「始まりは突然に」

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容姿端麗、成績優秀、おまけに性格がいいというパーフェクトな妹である。 体を動かすことに関しては少々残念だが.... 人によってはそんな短所もプラスととってもらえるだろう。 正直言って自分より大分できがいいと思う。 しかしその事自体は大切な妹なので疎ましくはなく、むしろ誇りに思っている。 今日も「新入生代表で挨拶をするから」と言って朝早くから家を出て行った。 全く誇らしい妹である。 しかし出来すぎている反面、心配性な妹。 栄斗が大学へ行くと妹が大学へ行くときにお金の心配をしだすかも知れない。 そう考えて、実は妹のためにお金を稼ぎたかったから就職を希望した栄斗であるがその事は秘密にしている。 栄斗は勉強が出来ない訳ではなく、むしろ頭はいい方である。 運動神経も良く実は才能の塊みたいな人間なのであるが....。 どうしても勉強もスポーツも一生懸命やれるほど好きにはなれず、適当なところで止めてしまうのだ。 やりたいことがない。 出来るなら一生寝ていたい。 栄斗は人生に冷めていた。 そんな栄斗が家を出てから歩き出して数分後。 駅までの道を歩いていると一人の少女が電柱にもたれながら寝ていた。
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