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世界は綺麗な色に染まる。
赤く、赤く。夕焼けではない赤色に。
見る物すべてを赤く染める”それ”は確実に広がっていく。
今日…世界は終わったのだから―――
運命の日。
いつものように起きた僕は、いつものように朝ご飯を食べていた。
「今日は帰り遅いの?」
「ううん。今日は部活ないから」
僕はそう答えると、「わかったわ」と女が答える。
この人は母と呼ばれる人。それ以外にはない。
名前はあるがどうでもいい。興味がないから。
「それじゃ早く帰っておいでね」
「わかった」
女は楽しそうに言う。何がそんなに楽しいのだろう。
僕には関係ない事だ。
煩わしい。
うざい、うざい、ウザイ……。
その女の顔を一瞥し、黙々とご飯を食べて僕は家を出る。
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