赤の世界

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 昼休み。  僕は一人、屋上にいる。ここは誰もいない。  僕だけの世界。  僕だけの理想郷。  一人はいい。何も縛られないから。 「……ふう。一人になりたい」  僕は誰に聞かせるわけでもなく、ただ宙にかき消えるほどの小さな呟きが自然と漏れた。 「一人に、なりたいの?」  だが、その呟きに反応する声がした。  僕しかいないこの空間に、確かに声が木霊する。 「一人が……いいの?」  もう一度、声がした。 「……だれ、だ?」  驚きと動揺。胸の奥に広がる非現実が容赦なく心臓を早鐘に如く打たせる。    ……何だ?    何が起こっているのか、何が起こったのか。わけも分からないまま、しかし、無視することは出来なかった。  その声は響いている。  そう、響いているのだ。  僕の頭に直接……頭の中で声となって――。
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