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「貴方は、一人になりたいの?」
「僕は、一人になりたい」
「どうして……?」
不思議そうな声。いつもならうるさく感じるものだが、妙に心が落ち着いている。
「興味が……そう、すべてに興味がないから」
多分、すべてを聞いてほしかったのだろう。
この得体の知れない”何者”かに。誰にも聞かせてない僕の願望を。
「そう……」
声は悲しげで楽しげな、不可思議な音色を残し、それっきり聞こえなくなった。
頭の中でもう声は聞こえない。
今のは一体何だったんだろう?
頭に響いた声は、不思議な音色と優しさを携えた声だった。
しかし、僕は夢と妄想の狭間で彷徨う愚か者ではない。
現実に興味はないが、だからといって夢や妄想に逃げるつもりはない。
きっと幻聴の類だろう。それとも、本当に――。
いや、僕には関係ない事だ。
僕には興味がない事だ。
そう、深く考えても”現実(いま)”が変わるわけがないのだから。
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