午後五時の幽霊、橙に染まる歩道橋

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   なあ、知ってるか?  歩道橋の上の幽霊の話。駅に向かう歩道橋の……  知ってたか。有名だもんな。都市伝説みたいなもんだし。  だが今から言うのは冗談でも何でもない。ちゃんと聞いて欲しい。  半年前、あの歩道橋で男子学生が転落死しただろ?  それ、俺の知り合いだったんだ。嘘じゃない、むしろ嘘だったらどれだけ良かったか……  とにかく俺はその歩道橋まで行ったんだ。罪悪感みたいなのもあったし、一度お参りしてやろうと思ったんだ。  だけど、俺はできなかった。なぜだと思う?  夕暮れの中に、ぼんやりと浮かびあがるそいつの姿があったんだよ!  しかもそれだけじゃない……そいつ、笑いながら女の幽霊の首絞めてたんだ。  そして彼女を歩道橋から突き落とすと、こっちを見てにやにやと笑った。  俺は恐ろしくて恐ろしくて一目散に逃げ出したよ。  嘘じゃない、嘘じゃないんだ!  なあ、あの歩道橋には、絶対に近付くな。  実際、面白半分で歩道橋に行って酷い目にあったって話もあるんだよ。  だけどそれだけじゃない。あそこには、幽霊だとかそんなもんじゃない、醜い感情のような物が渦巻いている。  俺はそう感じた。 ……何でそんな楽しそうな顔してんだよ。え? 面白そう?  笑い話じゃないんだよ。本当に、本気なんだ。誰にも話してない、お前にだけ話した。  だってこんな話したって、信じてもらえないか。  ああ、まだ笑うのか。きっとお前は行ってしまうんだな。  あの、歩道橋に。  だけど、これだけは忘れるな。  お前は親友だから、お前だけには助かって欲しくて話したんだ。  だから、もし何か起こっても、どうか俺を恨まないでくれよ、絶対に。  
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