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ほら、駅に向かう道にあるだろう? 枯れた花束の手向けられた歩道橋。
出るんだよ、そこ。
……いや、マジだって! その花束がさあ、何度片付けても次の日には元の位置に戻ってるっていうんだ……いやいやだから待てって、面白いのはここからだ。
その歩道橋はな、普段は何もおかしなことは起こらない。ところがだ、日が暮れ始め空が橙色に染まる頃ついに゙彼女゙は現れる。
時刻にして、午後五時。しかも十五分の間だけ。
そいつは何をするでもなく、儚げな表情を浮かべ手すりに手をかけて佇んでいる。そして時間が来ると、彼女は手すりを越えて車道へと落ちていき、地面に激突する寸前で消えていくんだ。
お、少しは興味出てきたか。
ほら、三ヶ月前新聞沙汰になって大学でも騒ぎになってただろ? 女子大生が自殺した話。驚いたよなあ、俺らの通ってる大学に警察来たりさあ。
結局理由はわからなかったらしいけどな、恋愛関係で悩みがあったっていう噂だぜ。
まったく、もったいないよな、その女子大生えらい美人だったって話なのによ――――
午 後五時 の幽 霊
橙に染 ま る歩 道 橋
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