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次の週も、その次の週もその人は来た。
いつも笑顔でおつかれさまって言ってくれて、気づいたらその笑顔に癒しを求めていた自分がいて。
言うなら天使みたいな存在になっていた。
狂くんに言ったら少し引かれたけどそんなの知らない。
そんな彼女の様子が、今日は違った。
いつものように商品を持ってきた彼女を目の前に顔が緩むが、すぐそれは真顔に戻った。
「お会計503円になります」
ぼーっとして俺の声が耳に入ってないみたいで。
よく見たら目が腫れていた。
「あの…、」
「…あ!ごめんね、お金…」
「あの、大丈夫…ですか?」
必死に笑顔をつくっていたけど弱弱しくて、いてもたってもいられなくなった。
「あの俺、あと10分でバイト終わりなんです。だから少し店内で待っててくれませんか?」
「え?」
「なんかあったんなら…話してくれませんか…?」
こんなこと言ってただの生意気なガキにしか思われないかな。
ウザがられるかもしれないな。
嫌われるかもな。
かなり思い切ったことしてる、俺。
「…待ってようかな」
「え」
「立ち読みして待ってるよ」
「あ…はい」
びっくりして聞き返してしまったが。
これは…信用してくれたということなのか。
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