【ブラックPhone】

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2人して息を切らしながらバスに乗り込んだ。 このバスに乗れば遅刻は免れるはず。 「何とか間に合ったな雷華。それにしても雷華が遅刻しそうになるなんて珍しいじゃん?」 雷華は息を整えながら返事をした。 「あたいは昨日ソウルマリオネットに夢中で夜更かししちゃってさ」 「ソウルマリオネットか。俺も今日学校帰りに携帯買ってデビューしてやる」 そう。俺は今さら携帯という名の機械を手に入れるんだ。 俺の両親は2人とも海外にいて仕送りをしてもらい生活をしている。 家賃や食費は賄えるが携帯までは買えなかった。 だから親とのやり取りは手紙。お陰で達筆になったけど。 今年の夏休みはずっとソウルマリオネットをやりたいが為にバイトをしていた。 ある程度貯まったのを見計らってから親に同意書を用意してもらい、昨日届いたのだ。 やっとだ。 「ちょっと神太聞いてる?顔がニヤけてキモいわよ」 「え!?悪い。嬉しすぎてつい」 「まぁ念願の携帯だからしょうがないわよね。登録したらあたいが教えてあげるわよ」 「さすが雷華!ソウルマリオネットの中毒者。頼りにしてるから」 俺の幼なじみの中で一番やり込んでいるはず。 ソウルマリオネットはオンラインRPGの類いと同じらしく、レベルとかもあるらしい。 大人もハマるゲーム。最近に至ってはCMもやるぐらいの全国認知度だ。 「神太!もう着くわよ」 「はいよ」 俺と雷華を乗せたバスは神威高校の前に止まり、二人は足早に学校の中へと入っていった。
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