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「んで、どうするわけよ?」首の骨を鳴らしながら、さして興味もなさげに翔太はいう。
「それがさ、あいちゃんと春菜はやりたいって言ってくれたがって」
急にめを輝かせて大きな声を出したせいか心なしか翔太も、目をまるくしている。
「三人…?残念、足りねえだろうが」
「まあ、そうだけど、、、」
「第一何処のカテゴリーで戦うんだよ」
細くて切れ長な目が光る。
「まず、社会人サッカーチームに拠点をおいて、それから高校サッカーのカテゴリーに格上げしようかなって」
あー…ちょっと怒られそう、また疑いの眼差しだよ。
翔太の疑いの眼差しは間違いなく私に向けられていた。
「それだったら監督とコーチとフィジカルコーチと、選手になりそうなやつ集めるのが先じゃねえか?」
冷静だねえ…まあ、そういうのが男性なんだろうけど、なんか複雑!
もっと夢のあること言えよ!
私がもごもご考えていると、さらに翔太が口を開いた
「俺、時々なら教えてやってもいいけどー?」
まじか?!
「じゃあ、あんたコーチね!よろしく!私まだひと集めるからさ!」
「ちょ、時々だからなー、バイトないとき…おい!」
「よろしく!」
ぱたぱたぱた軽やかに脚をあげてベルベットタッチ
翔太の声ももう届かない。
これからやることがいっぱいあってわくわくしちゃう。
遠くで教会のチャイムが鳴って、私を送りだしてくれてるような気がした。
ああ、どうか、ひと集まりますように、
そう言って息を吐いた
夕方の校門をくぐる。翔太はおいてきた。
このまま坂道を下って走って帰ろう!
この時、まだ私は胸がいっぱいの希望で膨らみ、慣れない制服は風でなびいて涼しく感じた。
びゅう、と新緑が舞う、木々のトンネル
何もかも新しく感じた、この一瞬を絶対に忘れない。
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