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学校からの帰り道、夕日が綺麗に水面に写ってきらきら砂浜に反射。
その遠くでボート部の掛け声が聞こえる。頑張ってるな。今のうちに青春しとけよー、少年!
なんて思って海沿いの道を自転車ですいっと走り抜ける。煉瓦の坂を下りて、農道のトンネルをくぐれば我が家が見える。
赤い屋根だから目立つったらありゃしない。チャリをとめて、急いで玄関へ
ガチャガチャ
「ただいま」
「おお、加恵ちゃんおかえり」
婆ちゃんがゆっくりこちらを向いた。
テレビ画面が婆ちゃんの後ろに見える、それはサッカー中継のようで、ぼんやりと居間の空間に吸い込まれていた
の、横にあいつはいた。
「世話になります、静江さん」
「かまん、かまん。翔太君みたいな子やったら、毎日きてもかまんきい。さいさい、きてちゃ」
微笑む婆ちゃんを尻目に、私は踵をかえした。
「私より先に帰るんなら、言ってよね」
膨れっ面で翔太に言う。
「お前のチャリの速度じゃ、試合開始に間に合わないって思ってな、こうしているわけ」
図々しく胡座を書いて、ボリボリ尻までかきながら、ちゃぶ台に座る翔太。
厚かましいわ!ボケ!
「あ、静江さんすいません。夕食までごちそうになるなんて……申し訳」
バシッ
「申し訳ないとかいいながら、もう箸もってんじゃん」
すかさず突っ込むと、さも楽しげにへらへら笑いやがる。
「だって静江の料理うめーんだもん」
「まあ、ありがとう。どんどんお食べぇ」
ったくおばあちゃんは翔太には甘いんだから。
「っあ!ゴールゴール、さっきのはトラップなしでそのままずばーんだろ」
「あのねえ、」
「またまたまたまた、あいつ落ち着きなさすぎだろ、そこでほいって、ドドドドでバシュ、」
「煩い」
「そこ、いつも抜かれてんだよ、俺もよく抜かれてたな…あ、あいつが振り切れば、そこでドドドドやろ」
「意味わからんわ!」
思わず突っ込まずにはいられなかった。
サッカー中継があると聞く耳持たないんだから。。
翔太の背中こんなに大きかったっけ?
テレビ画面が見えねーよ笑
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