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その後、僕は週休二日の運転手として朝と放課後に岩下さんを乗せて家の近くから学校までの往復をする事になった。
しかし僕が驚いたのは、初めて岩下さんを乗せたあの日から一週間後に『自転車は修理にだしたの?』と質問したら、もう直っているとアッサリ答えられたことだった。
じゃあ何故僕は無給の運転手アルバイトを続けなければいけないのか?
驚くなかれ、その答えは『なんだか、自分で漕ぐのめんどくさくなっちゃった』だった。
詳しく聞いてみると、土日は部活の時間はバラバラだし、さすがに悪いと思って自分で学校まで行くために自転車は直したらしい。
じゃあ平日も自分で……と言いかけた僕だったけど、『ん?』と首を傾げ意味深な笑みを浮かべながら僕を見つめてくる岩下さんを前に、成す術は無かった。
そして良く分からない関係のまま月日は流れ、模擬テストが終わった夏休み前の帰り道……――
「……高山くん、理系よね?」
僕のテストの結果が見たいと言い出した岩下さんに渋々結果表を渡し、僕はいつも通り安全第一で自転車を漕いでいた。
「岩下さんと同じクラスなんだから当たり前じゃない」
「……英語学年19番、国語11番、地理7番」
「いやぁ、たまたまだよ」
「そのくせに理科系は全部平均以下」
「……たまたまだよ」
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