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「!」
どうしよう。少年と目が合ってしまった。まさか眼見しすぎた?変態って思われてる?
「君…誰?」
少年が声をかけて来た。
ど、ど、ど、どうしよう。
「へ、変態じゃないんです、ごめんなさい。私、春香。あ、貴方は?」
「…は?変態?・・・・クスクス…君面白い事言うんだね。僕は沙裏。咲真沙裏‐さくま さうら‐っていうんだ。」
彼は、左手で口を覆い、笑って、そう言った。
「沙裏君っていうんだ…。ねぇ、さっきからこの桜みてたみたいだけど、なんでみてたの?」
「……。この桜、もうおばあちゃんなんだ。年取ってて…もうすぐ…切られちゃうんだ
。でもね、ここに来て、この桜見るとホッとするんだ。だから見てた。」
あぁ、だから儚げに見えて…否、儚げに見ていたんだ。
「この桜はね、この場所はね、大切な場所なんだ。大切な思い出の場所なんだよ。」
大切な思い出の場所…。
私が知らない思い出…。
踏み込んでいいものではない…通常なら。
だけど、知りたいと思ってしまった。
それは興味半分かもしれないし、或いは…この少年の事を知りたくて踏み込んだ
‐過まち‐
だけど、この時は気付いていなかった。この少年ともっと話したいという興味で浮かれていたのだから…。
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