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裏口には真っ黒な、まさに"いかにも"な車が停まっている。
そこへ連れ込まれた。
ギャー!ギャー!と騒いでる二人に、男が静かに話し始めた。
「あまり騒がれますと、こちらも止むを得ない手段を取ります。」
とスーツの内ポケットを示すように触る。
「今回は、うちらも少々大きなヤマに手を出しまして・・・。既に数名命を落としております。」
血の気が引く音が聞こえた。
「時間が無いので手短に説明します。お二人にはこの後、駅に向かわれて二手に分かれてもらいます。
環状線の内回り外回りにそれぞれ乗ってもらい、このアタッシュケースの受け渡し役をしていただきます。」
「あのぉ・・・。」
まっちゃんが恐る恐る質問しようとしたが、男はそれを無視した。
「それぞれ環状線を二周してもらい、最初に乗り込んだ駅で降りてもらいます。
乗ったらすぐ、二両目の進行方向から左の出入り口付近の荷物置きにケースを置いてください。
尚、くれぐれも不審な行動は謹んでください。ヤツらも既に数人入り込んでると思われますので、不審な行動はすぐに看破されると思ってください。見つかった場合は命の保障はありません。質問は手短に受けます。」今度はジュンちゃんが口を開く。
「この話、降りるってのはぁ?・・・。」
「先ほども言いましたが、このヤマは少々厄介です。我々の顔を見たあなたがたを、このまま帰すことはできません。
しかも、もうあまり時間がない。なにより、あなたがたは志願してこの仕事を請けたはずです。」
二人は顔を見合わせて苦笑した。
駅に二人降ろされ、車はすぐに走りだした。
まっちゃんとジュンちゃんは、意を決して互いに改札を潜った。
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