帰りの車。

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帰りの車。

残された俺たちは、テキトーに盛り上がった後、そろそろ帰ろうと言う事になった。 でも終電がない。 '俺、車で来たから直樹大丈夫やで' 秋吉はホント、場が読めるのか読めないのか分からない奴だ。 だけど助かった! 'さすが秋吉っ!ぢゃぁ、帰ろうぜ' 'りゅうちゃん今日はありがとう!めちゃ楽しかった!' と二人は言いながら、手を振り、スタスタと店を出て、車の方へ向かった。 秋吉がコインパーキングの清算機に向かってにらめっこしている。 'どうした秋吉?'と俺。 '直樹、ちょっと金貸してくれん?' こいつはやっぱり場が読めていない(笑) 'あっ、ええよ、俺払っとくから。' '直樹ありがとう!' 秋吉はきっと、狙っていたに違いない。 そして二人、車に乗り込む。 帰りは何故か高速道路。 またも秋吉狙っているのか?まぁいっか、終電逃したけど、こうやって帰れてるんは、こいつのおかげな訳やし。 高速道路の先に広がる真っ暗な闇からほんのりにわかに赤い紅色の空が朝なのに、夕方のようで印象的だった。 朝帰りは久しぶりだ。 半同棲中の彼女がきっと俺の帰りを待ってる。 彼女には秋吉と遊んでくるとしか言ってない。まぁいいよなっ。助手席の窓を全開にし、ドアのルーフに頬づえを付き、すがすがしい、マイナスイオンの風を浴びながら、俺たちは朝方の街へ帰っていったのだった。 半同棲中の、彼女を泣かす事になるなんて、この時には微塵も知るよしもなかった。
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