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「色々とあるけど、大きくは3つの理由があるんだよ。1つ目が去年まで一緒にやってきたあいつら……多分今の海空ナインとやりたかったから、葉槻に来た」
「どうして?」
「一緒にプレーしてる内にな、あいつらと甲子園出場賭けて試合したくなったから……でもチームメイトじゃ公式戦で戦えないから、葉槻に来た」
ふぅの顔を見る限り、やっぱりって感じだった。
「2つ目は簡単。俺の性格さえ知ってたら分かるはずだよ」
ふぅはしばらく考えていたが、すぐに分かったらしく、笑顔で答えた。
「分かった!みーくんのことだから、決められた道を行くより、自分で道を見つけて行く!って感じでしょ?」
「正解」
さすが幼なじみ。よく見ているよ、ホント……
「で、最後の理由は?」
「あー……最後の理由はだな」
一呼吸置いてから話した。
「最後の理由は……近くで見て欲しかったからな」
「えっ……?」
一瞬で顔を赤くしたふぅ。
「俺と陽介は3年前、海空に負けた。だから海空で練習をして、今ここにいる。あの時とは違うところを近くで見て欲しいからここに来た」
「あ……そっちね……」
何やら落ち込んでいるが、気にせず続けた。
「でも、こうしようと思ったのは……風香のおかげなんだよ」
敢えて"風香"と呼んだ。
「私の?私、みーくんに何か言った?」
「いや、俺には何も言ってないよ。ただあの時、俺と一緒にいてくれた。それだけで救われた。だから、もう大丈夫なところを……3年前とは違うところを近くで見て欲しいんだ」
そう言いながらふぅの頭を撫でた。
「っ!」
びっくりしていたが、すぐに俯いていた。
「だから……まぁ、うん。そうゆうことだ」
そう言いながら手を退け
「湿っぽい話になったな。まぁとりあえず帰るか」
「うんっ」
なぜかふぅに腕を組まれたが、気にせずに帰った。
ふぅも色々と成長してるんだなぁ、と思った2人っきりの下校だった。
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