第一夜「あれは誰の手?」

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あれは、私が小学校4年生の夏の出来事だった。 その日、私は父に連れられて姉と一緒に東京某所の小さな遊園地に連れられてきていた。小さく古い遊園地ではあったけれど、まだ幼かった私たちには十分なほど広く、乗り物も多かったため毎年来るのを楽しみにしていた。 毎年のように来ていた遊園地なだけに、乗り物はほとんど乗り潰していたため、同じものに何度も乗ることがほとんどだったのだが、まだ入ってないアトラクションが一つだけあった。 それは、遊園地でもお馴染みの「お化け屋敷」だった。 子供なだけにお化け屋敷が怖いから入らなかった訳ではない。その遊園地には洋風と和風のお化け屋敷が向かい合ってあり、私は洋風のお化け屋敷には既に何回か入っていた。 単に今まで入ろうと思わなかっただけの事だったのだが、たまたまその日は一緒にいた父が和風のお化け屋敷に目が止まり、いっしょに入ろうと言ったのが事の発端だ。 私は父が居れば安心だったので一緒に行くことにしたのだが、の姉はお化け屋敷が大嫌いで、洋風の方すら入りたがらなかった。そのため、私と父だけで行き、姉は外で待つことにしたのだった。
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