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東京某所のお化け屋敷で奇っ怪な事に遭遇してからあまり日が経っていない頃の事だった。
その日、私たち一家は横浜に遊びに行っていたのだが、日が沈むまで遊園地や買い物を楽しんでいたため、家に帰ってきたのは夜の10時頃だった。
クタクタで家に着くと、当たり前だが電気など点けて行かなかったため、家の中は真っ暗だった。
照明を点けようにも、うちの間取りと電源システムは少々変わっており、居間の一番奥の狭い廊下を抜けたところににあるスイッチを押さなければ点灯しない上に、廊下は袋小路でまた戻らなければならない。
荷物を背負ったままでは面倒なので、居間で下ろしてから点けに行くのが家の定番だった。
最初に居間に入ったのは母と私だった。父はその次で、必然的に最後はに来るのは姉である。
母が居間の入口付近で荷物を下ろしているとき、私と父の横から、遅れて来た姉が入ってきた。
その時、私と父の横を通りすぎ、母の後ろをすり抜けて電源スイッチのある通路へ歩いていったため、その場に居た誰もが姉は電気を点けに行ってくれたのだと思った。
しかし、待てども待てども一行に電気が点く気配がなかった。
不審に思った母は姉の名を呼んだ。
「何?」
と、顔を出しながら当たり前な返事を返してきたが、それはあるハズがない居間の入口からだった。
「あれ?さっき電気点けに行かなかった?」
「ううん、今家に入ってきたばかりだよ?」
そんなハズはない、確かにその場に居た父と母と私はもう姉らしき人物の気配が横を通るのを感じていた。おまけに、暗くてシルエットしか見えなかったが、私はハッキリ姉と同じ輪郭の黒い影が歩いて行くのを見た
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