動いた運命

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天高く、太陽が輝く。 校舎の屋上に人目を避けて、昼寝をする人物が一人。 その寝顔は穏やかに、長い睫毛が頬に影を落としている。 玲朧なる美貌。 目を瞑っているから余計に匂い立つ色気。 薄く開いた唇は誘っているかのよう。 そこに穏やかな空気を引き裂くように、 ピリリ、ピリリ。 と携帯から初期設定のままの音が響く。 「……んあ?」 少し眉間に皺を刻み、制服のポケットに無造作に手を突っ込んだ彼。 パカリと携帯を開くと、相手を確かめることもせず、掠れた声で電話に出た。 「………もし。」 一言だけ。 .
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