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待つ事数分。
扉が開き、出て来たのは彼の幼馴染み。
「飛鳥いたー。また男子の制服なんか着てるしー。飛鳥は女の子なんだからね。そんなんだから、女どもが騒ぐのよ。」
飛鳥と呼ばれた彼は男子の制服、ブレザーを纏った女の子だったらしい。
艶のある漆黒の長めのショートに白い肌、切れ長の二重の目元と通った鼻筋に色気を醸し出す薄めの唇。
彼女は真に美青年だった。
幼馴染みに青灰色の瞳を眠そうに瞬かせながら
「スカートうざい。似合わねぇし。」
彼女はそう返した。
「はぁ。きちんとしたら似合うのに。引き摺りすぎだし、あんな糞男のこと。」
幼馴染みはブツブツ彼女に聞こえないくらいの声量で呟きながらも、彼女に昼食を渡す。
昔なにかあった事を匂わせながらも、彼女の古傷を抉る事になってしまうのが分かっているから、それ以上言及することはしない。
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