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数秒間、教室に静かな空気が流れた。
誰も口を開けようとはしない
「……っっうっ……いったいじゃないかっ!!僕の顔を殴るなんてっ……何てことをしてくれたんだぁ!!」
吹き飛ばされた痛みからか眉間にしわがより、殴られた頬を押さえながらもあらぶった声を出した。
しかし、強気なその声とは真逆にわずかだか目に涙がたまっているのが分かる。
「‥‥‥‥‥奎吾‥‥?」
そろっと殴った本人である奎吾に目を向ける。
その顔は全くと言っていいほど悪びをおびている気配がない。
むしろ堂々した感じだ。
「‥‥俺、言ったよな?」
「なっ‥‥何をだよっ!」
圭吾の出す声にビクビクしながらも答える。
「…次に龍の事悪く言ったヤツは殴るって。…お前は龍の事を落ちこぼれと言ったよな。だから殴った。
そもそもその言葉言った時お前教室にいたし、それでもそんなこと口走ったんだから、それなりの覚悟を持ってただろうし?……問題はないだろう」
たしかに言ってはいたけれど本当に殴るとは誰も思っては居なかったはずだ。
きっとクラスのほとんどが同じ事を思っただろう。
そもそも正秋は貴族だ。貴族に手を出したら何がおきるか分からないのだ。
「っ確かにお前は言った!僕はそれを聞いていた!!だからといって強く殴り過ぎだろう!!もう少し加減ってものをっ」
(((いや、そっちじゃ無いだろうっ)))
クラスの心がひとつになった瞬間だった。
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