1人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
平日の真夜中。
華駆租(はなくそ)高等学校、通称華高の制服に身を包んだ霧島龍輔は、夜の田舎道をもくもくと歩く。
立ち止まり、ポケットから携帯電話を取り出すと親友に電話をかけた。
………
しばらくすると留守番電話サービスに転送された。
「……ちッ…あの馬鹿っ、もう寝てんのかよ」
…1時かぁ。もうおやじ寝たかな。アイツも電話出ねぇし行くとこもねえ。…どうしような。
「よしっ!!帰るかっ」
龍輔は、長くてストレートなアッシュブラウンの髪を書き上げながら再び歩き始めた。
歩いていると、龍輔は段々と暑さを感じていく。
「ふっ、真夜中だってのに、でじゃばりな季節だぜ。」
バサッ
龍輔の制服の背中から、翼が生えた。
鴉の様に黒い翼だ。
「やっぱ気持ちいいぜ…ハハ!!」
龍輔は空へ駆け上がり。
星と戯れる様に真夜中を滑空する。
「真夜中なら誰も気づかねぇし、家にもすぐ着きそうだ!!」
なびく龍輔の髪。
そしてしばらくすると、
家に到着した。
足を地におろす。
「ふぅ、親父もう寝てるよな。」
龍輔の家庭は平均的な中流家庭で、父子家庭でもある。しかし、不自由もなく、平凡な暮らしである。
家は二階建て。
セキスイハイムで、モダンな感じである。
セコムはしていない。
最初のコメントを投稿しよう!