第1話 ~高校生悪魔~

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………ガチャ 龍輔は家の鍵でドアを開けた。 その瞬間、ドアから大砲の弾の様なものが、龍輔の腹に減り込んだ。 うがあぁぁ!!!!!! 龍輔は悶えながら吹き飛ぶ。 「龍輔ええぇぇぇぇ!!!!!」 龍輔を呼ぶ地鳴りの様な謎の太い声。 そして龍輔は一気に家から遠のき、向かいの民家の塀に激突した。 あまりの衝撃に塀と龍輔のアバラ骨は粉々に粉砕され、なお生き続けるGが龍輔を民家の中へ押し込む。 えんがわのガラス張りの戸は吹き飛び、ガラスの破片が、家の所有者である老人に襲い掛かる。 そして龍輔は老人宅の居間を越え、台所の冷蔵庫に激突し、やっと止まった。 「はぁ、んはぁ……親父ィ…いい拳してんぜ全くよォ…はぁ…。」 そう、大砲の様なものは龍輔のたった一人の父親、 霧島閻魔(きりしまえんま)の拳だった。 「ほう、仮にも閻魔の拳を喰らってそこまでにとどめるとはな。」 「冷蔵庫が無けりゃ、もう一軒は行っちまってたかもなぁ…」 二人の様子を老人は怯えながら見ていた。 「龍輔、お前空を飛んできたな。俺は許可したか?誰かに見られたらどうなると思っているんだ。」 閻魔の開いた瞳孔に老人は布団をかぶった。だが龍輔は違った。 「今日こそアンタを超えるぜ…親父よぉ。」 うっすらと笑みを浮かべた龍輔に、閻魔の怒りは増した。 「俺を超える?…フッ、フハハハハ!!!!笑わせるな餓鬼!!!」 そんな言葉に目もくれないでゆっくりと立ち上がる龍輔。 「…いててっ。」 やっべぇ、内臓まで肋骨いってるな。こりゃ大変だなぁ。 「どうした龍輔。いつもみたいに逃げないのか?」 「…たまには真剣に親子喧嘩してみるのも…ハァ…わ、悪くねえっしょ。」 龍輔は、脇腹を抑えながら壁にもたれ掛かる。 「フッ…お前から向かってくるのは久しぶりだな。なら来い…ゴクッ、プハァ…全力でな。」 酒を飲み干し笑みを浮かべる閻魔。それを見た龍輔は、拳を握り目を閉じた。
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