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…そしてそれから数年の時が経ち、今日もサラは幽閉の牢獄の中で誰かの助けを求めて、誰が聞いている訳でもない悶えの呟きを洩らしているのでした…
…その呟きの一言一言は不思議な事に、幾つものシャボン玉の泡玉になって、その一つ一つは祠の中から外へとフワフワと漂い出ていきました。
…こんな砂漠で張り付けにされていたら、普通の人間だったらとっくの昔に死んでしまってミイラになってしまっていたでしょう。
でも今までサラは、恐らくは“禁断の果実”の魔力のお陰で生き延びられて来たようですが、このままではいつか衰弱してしまい、確実な死が必ず訪れるに違いない…サラはその時を黙って待ち続けているしかありませんでした…
「ふん、今日もまだくたばっていないのかい!…お前を“あの方”から預かってからもう何年になるのかねえ?…いっその事、早くおっ死んでくれた方が気が楽ってもんさ!…それならそれで、寿命で死んじまったって報告出来るんだがねえ……」
…そう言って祠の地下の牢獄を覗き込むマダム・フィッチィでした。
そんな理由があってサラを預かり、見張り続けてきたけれど…マダムはいい加減飽きてきていたのでした。
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