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高校時代の友達くるみに紹介してもらい、誠さんに出会った。
誠さんはくるみの大学の先輩。
別に好みのタイプではないし、ただ単にご飯を食べに行ってワイワイ楽しんだだけのつもりだった。
でもなぜか誠さんはこんな私を気に入ってくれたようだ。
その頃、私には片想いだけど好きな人がいたし、その気になんてならなかったのだけれど…
何度かくるみを交えて会っているうちに、真面目な人柄や、さりげない優しさや、一途に想ってくれている温かさに心地よさを感じるようになった。
片想いの彼には未練はあった。
彼に感じるようなドキドキは感じない。
けれど、静かだけれど真っ直ぐに愛情を見せてくれる誠さんに惹かれ始め、私は付き合う事を決めた。
誠さんと付き合い始めても尚、家で主婦のように働いている私は、家事をこなさなければならなかった。
誠さんとデートの日は、家事を全て済ませてから出掛ける。
父と妹の為に夕食を用意して、私は誠さんと外で食事。
当たり前だと父に言われ続け、いつの間にか私自身もそれが当たり前なんだと思うようになっていた。
けれど誠さんにその事を話すと、すごく感動されて、初めてと言っていいほど褒めてくれた。
「なかなかできる事ちゃうよ!
そんな家庭的で家族思いの優しい愛ちゃん、ますます好きになったわ!」
大嫌いだった自分をこんなに褒めてくれた誠さん。
この人に出会えてよかった!と心から思った。
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