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12年ぶりに母に会った。
愛する人と共に。
母は幾分歳を取ってはいたが、あの頃と全く変わらず、私の母だった。
離れて暮らしてはいても、会えなくても、ずっと私達姉妹の母であり続けたいと思っていたから再婚は考えた事がないと母は言った。
さらに私達の結婚を心から祝福してくれた。
母娘の再会を間近で見ていた誠さんは、ある提案をする。
「お母さん、僕達の結婚式に参列してもらえませんか?
お父さんの事は、僕がなんとか説得してみせます!
父を亡くした今、愛にはご両親共に晴れ姿見せてあげて欲しい。
皆に祝福されてスタートさせたいんです」
母は慌てて辞退したし、私も驚いて彼を止めようとした。
けれど。
「結婚式はオレら2人だけのもんと違う。
今まで育ててくれたお父さんや、オレらを産んでくれたお母さんとうちの母親に感謝する場でもあると思うねん。
お父さんの事は僕に任せてください!
約束しますから…お母さんも是非、と言うか、絶対参列してくださいね!」
母は気後れしていたものの、誠さんの気迫に圧される形で承諾したが、絶対に無理はしないでと条件を出した。
それは誠さんの愛がたくさん詰まった約束だった。
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